FC2ブログ
 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 

駆け出しカウンセラーの憂鬱 2 「紐解かれた忌まわしい記録」

yayoi_6.jpg



 無味乾燥か逆にわざとらしい子ども向けの装飾を施すことが多いカウンセリングルームが一般的なのは知っていた。だが、性的虐待といった特殊な傷を負わされた子どもにとって、一番リラックスできるのは「仲の良い友達の家」や「優しい年上の知人の家」といったところかもしれない。それを狙って友人の須藤は、新しい取り組みをスタートさせ、そこに美紀を引き入れようとしている。しかし、須藤は子どもの性的虐待被害を専門にしていたわけではないはずだ。

 「須藤先生のところに、あまりにもそういう相談が多いから。だから何とかしなきゃ、と考えたみたい」

 美紀は、カクテルを舐めながら言った。赤い舌が一瞬見えて、また隠れた。

 「30歳でカウンセラーって仕事始めて、いろいろ実態が見えてきました。チャンスはそんなにないってことも。史郎先生の心配もすごくよく分かるんです。わたしには一番不向きなクライアントと対応しなくてはならないって」

 でも、賛成してほしいということなのだろう。自分の忌まわしい過去を知っているわたし、「史郎先生」に賛成して背中を押してほしいと。30歳の女性にしては、やはり幼いと思った。求めている答えをあからさまに示して、甘えてきている。


 「でも、実際のクライアントには、君だけが相手をするわけじゃないんだろう?」わたしは、そのとき考えられる精一杯の譲歩をして助け船を出した。

 「はい。もちろん、わたしだけが切り盛りするわけじゃないんです」
 「じゃあ、勉強するつもりでしっかりやればいいじゃないか」

 美紀は、わたしの言葉に、念願かなって欲しい物を買ってもらう約束を取り付けた子どものような表情をした。身体を揺らし、喜びを表現した。

 それからは、他愛もない話がやりとりされた。暮らし向きの話ばかりだった。好きな食器を買ったことや、買いたい車の話、友人と会う時に着ていきたい服、そんなところだった。生活ではなく、暮らしだ。食えているのか、家賃は払えているのか、貯金はできているのか、足りないとしたらアルバイトはどうしているのか、そんな「生活の話」はまったくでてこなかった。女の子が読むような雑誌の切り抜きの話だった。わたしは、不安を覚えたが、それを隠してつきあった。これじゃあ、キャバクラ嬢と同伴しているのと一緒だな、と心の中でわざとらしく毒づいた。

 彼女は別れ際、雑踏の中でわたしの腕に自分の腕を巻き付け、身体を寄せてきた。柔らかい感触が肘のあたりに伝わってきた。

 「先生、わたしと会うのはもういや?」美紀がわたしを見つめていた。
 「そんなことないよ」と言うと、今度は笑顔を見せることもなく、すっと身体を離し、ありがとうございましたと言って地下道に消えていった。

 その夜、わたしは久しぶりに美紀のカウンセリング記録を読み直した。ここ数年、彼女と半年ごとのペースで電話で話していたとき、何度もこの記録を手に取ろうとして止めていた。

 彼女の母親に娘の状況を説明したことがあった。18歳のとき美紀は突然引きこもり状態になり、暗い自室から出なくなった。そして20歳になって自分から部屋を出て、わたしのもとにカウンセリングにやってきた。わたしは彼女の7歳から17歳までの物語を数カ月かけて聞き取り、メモを要点を抜き出して記録をつけた。ただ、母親への説明は記録の中のほんの一部にとどめた。それでも母親はショックで寝込んでしまった。自分の夫、つまり美紀の父親は娘を5年にわたって陵辱していた。美紀の初めての男性は実父だった。その実父は美紀が引きこもる直前に蒸発していた。

 美紀の母は、夫が蒸発してから彼が経営していた小さな会社を社長として切り盛りしていた。彼女は夫の娘に対する所業をわたしから聞き、でたらめだと叫んだ。しかし、そう言いながらも寝込んでしまい、回復してからわたしのところにやってきて、娘の言ったことは恐らく本当だろうと言って、その後はわたしとは会うことはなくなった。

 美紀の記録を読み直していると、美紀のカウンセラーとして過ごした3年ほどの時間がすこしよみがえってきた。彼女の母親には話さなかったことがそこには何行にもわたって書かれていた。そして別れた妻の顔も浮かんできた。当時はまだ夫婦だった。

 わたしは、当時、美紀にというより、美紀の話したことに夢中になり、我を忘れた。クライアントの話したことが事実なのか、ただの妄想なのかを確かめることに没頭したのだ。誰に頼まれたわけでもない。自分の意志でそうした。人を探し、重い口を開かせたりした。美紀の父にも会った。そして美紀にとって父親や母親などより、はるかに関わりの深い人物たちに会い、話を聞いた。そのやりとりはすべてハードなカウンセリングのようなものだった。相手の治癒を目的としない、果てしない戦いのようなカウンセリングだった。美紀は、わたしが会った人物の話を目を輝かせ聞き続け、どんな話も顔色1つ変えず耳をすませて、集中して受け止めていた。

 わたしは、20歳の娘の話す悲惨で異様な話に引き込まれ、関係者を捜し当て、事実を確認するという何の利益にもならないことに没頭して生活を失った。それ自体も悲惨な話でしかなかった。思い出したくないできごとだった。わたしは、何とか自分を立て直し、美紀のカウンセラーとしての立場を放棄し逃げた。逃げたことで元通りではないにせよ、まともな暮らしができるようになった。

 わたしは、美紀の身体の感触を思い出してた。1分にも満たないような短い時間、わたしの腕のあたりに伝わった柔らかい感触。もうそれだけで十分だった。わたしは何年かぶりに自慰をした。

(つづく)
関連記事

テーマ : 今夜のおかず
ジャンル : アダルト

tag : 駆け出しカウンセラーの憂鬱

 
 

comment form

管理者にだけ表示を許可する

comment

 
ここもポチッとお願いします!!
これはお得!! NEATY ROYAL推奨 皆様のランキング投票=“明日への糧”です。なにとぞよろしくお願い申し上げます。
アダルトブログランキングへ
新着記事
LINK
タグクラウド

RSSリンクの表示
訪問者様累計
プロフィール

NEATY ROYAL

Author:NEATY ROYAL
このブログは21歳未満の方は閲覧禁止です。さまざまな過激な表現が含まれるコンテンツがあります。ご注意ください。動画紹介記事をのぞく記事で掲載される動画・画像は本文とは無関係です。記事タイトルか「Read More」をクリックすると全文が読めます。
当ブログに掲載されている本文記事はすべてオリジナルです。コンテンツ(動画、画像以外)の著作権はすべてNEATY ROYALに帰属します。無断転載ならびに著作権侵害にあたる行為を禁じます。
【動画の再生について】動画再生での事故、不利益に関して、当ブログは一切責任を負いません。当サイトは著作権侵害を目的に運営はしておりませんが、問題がある場合、しかるべき方からの削除要請には迅速に対応いたします。

月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア
平日14時の発情妻たち H-ONE 期間限定 企画 お宝 プレゼント 無修正投稿掲示板
カテゴリ
注目記事
厳選バナー
オナホール2 アダルトDVDレンタル JET映像 超林堂 バレたら終わり!私は親友の弟と交尾しちゃっている 女性向けアダルト動画 電脳出版 VIP エピキュリアン AVS AVマーケット コアコレ Vol.1 ダウンロード販売 アートビデオ ベイビーエンターテイメント 猪鹿蝶
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。